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更新日:2004年8月30日

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書名:トンパ文字 生きているもう1つの象形文字
トンパ文字 生きているもう1つの象形文字

著者 王超鷹
出版社 マール社
ISBN 978-4-8373-0414-2
発行日
1996年4月20日
価格 1,258円
(本体1,165円+税)
仕様 A5判
分類 その他
「トンパ文字」とは中国は雲南省の奥地で今なお使われている象形文字である。いつだったか、玄米茶のペットボトルのデザインにも使われていたので見覚えのある方も多いだろう。躍動感のある人型文字やユーモラスなアイコン、抽象と具象の渾然一体となったこの絵文字は、一目見ると心の中に強く印象が残る。このような象形文字では古代エジプトのヒエログリフが有名だが、あれは非常に平面的で記号的であり、表意というより表音文字なのだろう。トンパの方が表情が豊かだ。意味がわからなくてもそこに物語を感じることができる。
本書はこのトンパ文字が現在も使われている中国の奥地に筆者が訪れ、その紀行文という形で進む。町の様子。人々の生活。その中で今も使われているトンパ文字。現地で撮られた写真を見ていると、日本にもこんな風景が何十年か何百年か前にはきっとあったのだろうと想像できる。
本書にはトンパ文字による文章の対訳が豊富に紹介されている。それだけでも大変な本だが、実は私が最も気に入っているのが英文の対訳もついている点だ。これはトンパ文字の対訳部分だけでなく、本文(紀行文)もすべて英文の訳がついているのだ。コンパクトな本ながら、この情報量。まさに脱帽の一冊である。
圧巻なのが第三章からのトンパ文字総覧。トンパ文字や古代の漢字を研究するのに非常に役立つ資料となるだろう。それにしても人の動作を表す文字だけで数十もの種類があるのには驚いてしまった。しかもその一つひとつが実に具体的でシンプルでそれでいてそのものずばりという形をしている。実に不思議で楽しい文字を考えついたものである。
私は本をよく処分したり売ったりするが、この本はしっかりと本棚に残ることになりそうだ。時々取り出して酒のツマミにするのに丁度いい本である。


書評者: 関 裕司 <>

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