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更新日:2004年4月28日

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書名:マイクロプロセッサ・アーキテクチャ入門
マイクロプロセッサ・アーキテクチャ入門

著者 中森章
出版社 CQ出版社
ISBN 1101620042315
発行日
2004年4月1日
価格 2,376円
(本体2,200円+税)
仕様 B5判/352頁
分類 ハードウェア(CPU)
 最近のマイクロプロセッサの要素技術のあれこれ、つまり、パイプライン処理/スーパースカラ/キャッシュ/仮想記憶とアドレス変換機構/割り込みと例外/浮動小数点演算/命令セット……といったことについて、基礎的な知識とともに各種のマイクロプロセッサでどういうふうに実現されているかを解説した本です。「インターフェース」誌の2003年10月号/11月号の特集記事に加筆してまとめられたものだそうです。

 最近、私の仕事の中でこの分野の話はけっこう比重が大きくて、実はつい先週も、あるMIPS系プロセッサのマニュアルをリライトしてました。似たようなものをもう何度も扱ってますし、十分にいい仕事ができたと思います。
 しかし、初めてのときはやっぱりいろいろわからないことだらけでしたね。この本の後書きに『「2ウェイセットアソシアティブってなんですか?」って最近の若い者はそんなことも知らないのかと思ってしまった』なんて話が載ってますけど、いや私も最初はそれ知らなかったですほんと。
 で、これまた後書きに書いてあるんですが、こういうことをしっかり勉強できる本はあまりありません。さらに、MIPS/ARM/SH/PowerPC/680x0/x86とPentium/Alpha/Itanium……各系列をフォローしている資料となると、たしかにこの本ぐらいです。

 ある程度の……いや、並以上の予備知識と興味関心がないと、読んで理解するのは難しいでしょうし、また一方、パソコンの世界に限ればx86を知っていれば十分だというのもたしかです。
 けど、私としてはなんかこう、もっと多くのエンジニアにもっと多くのプロセッサを知ってもらいたいです。これまた後書きにも書いてあるんだけど、x86はけして典型的なプロセッサではないのです。そこらの雑誌や書籍でx86アーキテクチャの説明を読んでコンピュータのしくみを知った気になったら……現在の出版状況からいって多くの人がそうなっちゃうんですが……、それはある面でマイナスだと思うんですよ。

 最近気がついたのだけど、ソフトウェアエンジニアには「想定外のことを認識する能力」というか「無いものに気が付く能力」というか、なんかそんなものが必要なんだな。その能力が足りないと、潜在的なバグの多いプログラムができてしまう。最近は脆弱性などと言うようですけど、プログラマの立場で言ったら要するにバグです。
 「想定外のことを認識する」のは素質でもあるけど習慣でもある。そういう習慣を育てるために、自分の知らないプロセッサのアーキテクチャに触れてみるということは、かなり効果の高い刺激じゃなかろうか、と思います。


書評者: 塩見 真一 パソコンの本フォーラム

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