ブックモールPC

ブックレビュー
更新日:2009年9月23日

全レビュー一覧&レビュー検索はこちら >>
書名:午前3時の無法地帯 3
午前3時の無法地帯 3

著者 ねむようこ
出版社 祥伝社
ISBN 978-4-396-76469-2
発行日
2009年9月15日
価格 1,008円
(本体933円+税)
仕様 単色刷/A5判/190頁
分類 コミック(全般)
 このあいだ『Web制作 新人育成ガイド』という新人Webデザイナー向けの本をレビューして、副読本としてこの『午前3時の無法地帯』をお薦めしました。そのときはそれだけでいいと思ってたんですが、先週、この3巻が出て完結したので、レビューしておくことにしました。
 や、完結しただけじゃなくてねえ、ラストシーンの、最後の最後のセリフが……
  「仕事 ナメんなよ」
……てゆうんですよ。ももちゃん、て、つまり主人公、この表紙のほにょっとした女の子が、後輩の女の子に向かって「仕事 ナメんなよ」て、言うんですよ。

 後輩の女の子というのは、1年前のももちゃんと同じです。新人デザイナー。イラストかなにかが好きで、専門学校を出て、パチンコ屋の店内に飾るポップやポスターを作る小さなデザイン事務所に就職したら、仕事が思ってもみなかったくらい過酷。朝早くて夜遅くておしゃれする暇もない、午前3時も泊まり込みもあたりまえ、お風呂に3日入らないのもよくあること、営業担当はやたらに怒鳴りまくるし、コピー機はすぐつまるし、事務所はヤニ臭いし仮眠室はカビ臭いし、男どもはむさいし夜中になるとズボンを脱いでうろうろしてたりするし、先輩女子まで販促品のだっさいトレーナー着てたり給湯室で髪洗ってたり夜中になるとブラ外してたりしかも洗面所に忘れていったりする。同期の女の子は耐えられなくて辞めていくし、自分も辞めたくてたまらない。
 そういう子に向かって、先輩ももちゃん、ノーメイクでノーブラで女捨ててるみたいだけど実はしっかり彼氏のいるももちゃんが「仕事 ナメんなよ」です。

 いやなに、私も小さな出版社で編集やってましたから、ほぼ同じような経験してます。まあ男だから無茶でもいくぶんマシでしたし、会社もそのうち半端に大きくなって無茶なことも少なくなりました。……でもないなあ、こぎれいにはなったけど、編集者にまでスーツを着せネクタイを締めさせ女子には制服を着せるという、逆の方向で無茶な会社になったんでしたねえ。私はそれも平気だったけど、ネクタイなんか締めていてはクリエイティブな仕事はできないとか言い出す新人もそういえばいました。
 私が思うに、物を創るという仕事はそれ自体で十分に過酷です。残業も泊まり込みも夕食が宅配ピザなのも、物を創る辛さに比べたらなんでもない。ネクタイ締めたらしぼんでしまう程度のクリエイティビティなんて、そんなものあったってぜんぜん役に立たない。仕事の前では、たいがい問題にならないことなんです。

 まあ、ももちゃんみたいに恋も仕事も絶好調にはなかなかなれないんですが、いや、だからこそだな、いまパソコンの本を創っている皆さんに、広告やWebサイトや映画やソフトウェアやそのほかいろいろな物を創っている皆さんに、心からエールを贈りましょう。
 仕事、ナメんなよ。


書評者: 塩見 真一 パソコンの本フォーラム

全レビュー一覧&レビュー検索はこちら >>

Copyright 2002 Bookmall Japan Corporation All rights reserved.
このWEBサイトに掲載されている記事・写真などの無断転載を禁じます。
このWEBサイトについてのお問い合わせはこちらまで。
株式会社ブックモール ジャパン