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更新日:2007年12月12日

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書名:ワインバーグの文章読本
ワインバーグの文章読本

著者 Gerald M. Weinberg 著/伊豆原弓
出版社 翔泳社
ISBN 978-4-7981-1122-3
発行日
2007年11月20日
価格 2,376円
(本体2,200円+税)
仕様 単色刷/A5判/252頁
分類 コンピュータ一般(教養・読物)
 ジェラルド・M・ワインバーグと言えば、コンピュータ書の分野では屈指の文筆家です。とりわけ、「人間がコンピュータを使うこと」というか「コンピュータを使う人間のこと」というかそういうようなことに関して、斬新な視点と深い洞察と生き生きした文章で、名著と呼ばれてしかるべき著書がいくつもあります。
 私が最初に読んだのは『ライト、ついてますか』だったか、それとも『計算機入力の人間学』だったか、その後『スーパーエンジニアへの道』と、数年前に読んだのが『コンサルタントの道具箱』と、いずれもそのときどきの私にとって大きな発見、開眼と言ってもいいくらいのものを与えてくれました。具体的になんだったか全部は思い出せないのだけど、それはつまりこれらの本から得たものが私の中に溶け込んで、私の考えの一部になってしまったからだということにしておきましょう。

 そのワインバーグが、プロとしての文章の書きかたについて書いたのがこの本。骨格になっているのは「自然石構築法」という、文章の材料になりそうな石ころ、見たこと聞いたこと読んだこと思いついたことを常日頃から拾い集めておき、大きさも形もばらばらなその石の山をうまく組み合わせて家を作る、文章をまとめていくという手法です。何を拾い集めるのか、どこで拾うのか、どうやってメモを取るのか、メモを取れないときどうするのか、集めた石をどうやってまとめるのか、どうやって捨てるのか、どうやって仕上げるのか、どうやって練習するのか。そして最後に出版の段階、出版社や編集者との関係について。

 うーむ。
 や、プロの物書き、少なくともプロになろうとしている人が対象読者だというのはいいとしても、しかしその中でもこの自然石構築法を実践できる立場にいる人はかなり限られるんじゃないだろうか。ワインバーグ自身のように、複数の執筆依頼を途切れずに受けていて、それぞれの内容や構成をほぼ自由に決めることができ、書きたくないものは断ることもできるという、そういう立場にいる人でないと、こういう方法で文章を書くことはできないんじゃないだろうか。「パソコンの本」を書いている人たちの中に、こういう方法を知って役立てられる人が果たして何人いるだろうか、結果としていい本ができることにつながるだろうか。

 ……まあ、知ってて実行する機会がないのと、知らないのとではやっぱり違うしな。少なくともこの作文練習は役に立つ。石のひとつとして、拾っておく価値はあると思いますよ。



書評者: 塩見 真一 パソコンの本フォーラム

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