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更新日:2005年3月9日

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書名:旅人をつなぐ“マルスシステム”開発ストーリー
旅人をつなぐ“マルスシステム”開発ストーリー

著者 金子則彦
出版社 アイテック
ISBN 978-4-87268-474-2
発行日
2005年2月21日
価格 1,728円
(本体1,600円+税)
仕様 二色刷/A5判/151頁
分類 コンピュータ一般(教養・読物)
 うむぅ、ちとショック。コンピュータの技術史についてはもちろん興味もありそれなりに知っているつもりだったし、旧国鉄の指定券予約システムがマルスという名前だということも知っていたのに、頭の中で結びついていなかった。コンピュータ技術史の中にマルスという大きな存在があること、私は知っていたのにわかっていなかった、なんてこったい。

 なんかもうえらそうな口はきけなくなってしまいましたが、そのマルスシステム、みどりの窓口で全国の列車の指定席を予約発券するオンラインシステムですね、あれ、いつごろ開発されたものだかご存知でしたか。実に1959年、ですよ。世界初の電子計算機ENIACができてから15年、日本初の電子計算機FUJICができてからわずかに3年。ITなんていう言葉はまだ影も形も姿も匂いもない時代、コンピュータ自体としてもごく初期、オンラインシステムとしてはまさしく創成期だったのです。
 もちろん最初から今のような大規模システムだったわけではなく、1959年に稼動したマルス1は4列車8日分の座席しか扱えず、端末も13台しかありませんでした。……「しか」とは言ってもな、ハードもソフトも方法論も組織もとにかく何もないところで、手探りでそれだけのものを作る苦労と工夫はやっぱり読み応えがある。なんであれパイオニアは、すごいです。

 一般の読者にも十二分に面白く読めると思いますが、詳細設計書だとか結合テストだとか移行プログラムだとかいった専門的な話題も出てきて、IT技術者の目で読むとまた面白いです。
 いやまあ、アジャイルだとかテストドリブンだとか言っているとこんなのはるかに時代遅れの物語だとも思えるでしょう。だけど、この昔物語の中にも、現代の技術と共通するものを見つけることができるはず、それが技術の本質なのだと思います。


書評者: 塩見 真一 パソコンの本フォーラム

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