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更新日:2004年6月14日

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書名:ソフトウェア開発 55の真実と10のウソ
ソフトウェア開発 55の真実と10のウソ

著者 Robert L. Glass 著/山浦恒央
出版社 日経BPマーケティング
ISBN 978-4-8222-8190-8
発行日
2004年4月8日
価格 2,376円
(本体2,200円+税)
仕様 単色刷/A5判/327頁
分類 プログラミング(プログラミング技法)
普段なんとなく思っていても、なかなか口には出さないこと。おかしいな、そりゃ無茶だよとわかっていても、正反対な「常識的」で「優等生的」なことを言ってしまうこと。ありますよね。どんな業界、どんな職種にもあてはまると思うのですが、私が一年間という短い期間身を置いていた情報システム部門でもそんなことはよくありました。本書はソフトウェア開発という場において、本当はこうなんじゃないの、もっともらしく聞こえるその常識は実はウソなんじゃないの、と長年ソフトウェア技術者をしている筆者がユーモアや皮肉を交えてばっさりと切ったものです。当然筆者の持論なわけで、100%その通り、よくぞ言ってくれた、と手放しで歓迎することはできないし、その意見の是非を判断できるほど私は知識も経験もないのですが、概ね賛同できる内容が多かったです。今まで気づきもしなかった「真実」や「ウソ」にも出会うことができました。
色々と新しい開発環境やツールをそろえてみたものの、いざ開発だという時には結局は手に馴染んでいる何世代も前のツールを使ったりとかね、みんな世代や国に関係なく同じことをやっているようです。こうやって使われずにパッケージが本棚に並んでいる最新式のツールのことを「Shelfware」というらしいです。うまいこといいますね。会社だけでなく自宅にも「Shelfware」が、あるある。
ちょっと感動した「真実」もありました。それは、「保守は解法であり、問題ではない。」というやつ。何やら禅問答のようですが、せっかく世に送り出したソフトウェアなのだからそれから解放されたいのに、バグ取りや改善にいつまでも付き合わされることってあるじゃないですか。当事者にとってはまさに「問題」であり、保守の手間をなるべくなくす方向に気持ちが行くと思います。でも著者は保守の本質はそうじゃないんだ、と教えてくれます。実際、「ソフトウェア」を「経営戦術」に置き換えてみると「○○は解法であり、問題ではない。」は基本中の基本、誰もが認める当然の常識なので、コンピュータ業界は悔い改めるべきじゃないかな。
本書の特徴は「反論」や「情報源」「参考文献」を豊富に紹介していること。ただ「反論」といっても著者の皮肉の格好のエサにもなっているようで、読んでいてニヤリとしてしまうこともしばしばあります。楽しみながら本書を書いたんだな、という雰囲気がとても伝わってくる本でした。翻訳者もソフトウェア工学の専門家で、深い内容にもかかわらず、こなれた日本語で読みやすかったです。


書評者: 関 裕司 <>

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