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更新日:2003年6月2日

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書名:パソコンで遊ぶ数学実験
パソコンで遊ぶ数学実験

著者
出版社 講談社
ISBN 978-4-06-257403-7
発行日
2003年2月19日
価格 1,512円
(本体1,400円+税)
仕様 新書判
分類 コンピュータ一般(教養・読物)
次のような奇妙な体験をしたことがありませんか。学校のたった40人のクラスの中に誕生日の同じペアがいたという事実。自分と誕生日が同じ人とはめったに会わないのに、クラスの中で「あいつとあいつは同じ日に生まれた」なんてことがよくあるのです。そう、これは偶然ではなくて「よくある」現象、言い換えれば「確率は高い」のです。「確率」というと数学の中ではあまり人気のある分野ではないようですが、実生活と結びついた面白い現象がいろいろとあるので、紙と鉛筆を用意して……、となるとこれが実はすごい計算量になったりするので、数学が好きになれないんですよね。これを「リクツはともかく、試してみよう!」とやっているのがCD-ROM付きの本書です。内容は確率に関するものが半分と、いろいろな曲線やフラクタル、カオスと呼ばれているもの。パソコンは同じ作業を繰り返すのが得意なので、こういった数学関係のシミュレーションはあっと言う間にできてしまうわけです。
数学のCAI教材としては理想的なのかな、と最初は思いました。見た目は綺麗で感動的です。複雑な数式で頭を悩ます必要もありません。でも予想したほどその感動は強くないんですよね。その理由はスピードです。最近のパソコンは一昔前のスーパーコンピューター並みの性能を持っていますから、「ある計算を1万回繰り返しながら、その結果を描画する」なんてのも何分もかかりません。秒単位で終わってしまいます。だから、画面を見ながらわくわくする、なんて余裕がまったくなくて、すぐに結果がぽん、と。意外とつまらない。例えば「ジャンボ宝くじを1万枚買ってみる(購入資金300万円!)」なんてことがあったら実生活ではそれこそえらいこっちゃで、一等前後賞3億円の当たる確率はかなり高いぞ、こりゃ確実だぞ、借金返して仕事をやめてこれから一生遊んで暮らす、なんてことを本気で考えてしまいそうですが、この本に付いているCD-ROMでシミュレートしてみると、3等100万円すら当たる気配もないという事実をわずか2〜3秒で教えてくれるのです。これはかなり悲しい。
数学嫌いの生徒の注目を集めることはできるかもしれません。でもその先そういった生徒が数学を好きになってくれるかというと、それはあまり期待できないかもしれません。逆に数学が好きな生徒にとってはこのスピード感があっけなくてあまり面白くないです。数学好きは時間を忘れて考える過程が楽しみなんですよね。今年の東大の入試問題に円周率を評価する問題が出ましたが、時間無制限でやらせてみたら面白い発想をする生徒を選抜できるのにな、と思ったりしました。入試の方法としては無理ですが。
というわけで、ちょっと評価は辛めですが、帯に短し襷に長し。あ、スピードを遅くする機能も付いていますね。これでわざと焦らすのがいいかも。


書評者: 関 裕司 <>

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