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更新日:2002年6月19日

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書名:わかりやすい Oracle PL/SQL
わかりやすい Oracle PL/SQL

著者 Christopher Allen 著/トップスタジオ
出版社 日経BPマーケティング
ISBN 978-4-8222-8132-8
発行日
2002年6月6日
価格 3,672円
(本体3,400円+税)
仕様 単色刷/B5変型判/391頁
分類 アプリケーション(データベース:RDBMS)
 この駄文を読んでくださっている方の中に、書店にお勤めの方はいらっしゃいますでしょうか。お店ではこの本、どこの棚に置いておられますか。データベースの棚でしょうか、それとも資格試験の棚でしょうか。
 新宿の紀伊國屋さんでは資格試験の棚に置かれていました。まあこの「わかりやすいOracle」シリーズ、オラクルマスターの受験参考書として出版されているシリーズの8点目ですから、それが当然でしょう。この本をあえてデータベースの棚に、資格試験と直接関係のないPL/SQL入門書として置く書店さんはないと思います。

 しかし事実としては、この本の中身はオラクルマスターとは関係がありません。データベースとSQLとPL/SQLの入門書です。巻頭に試験の概要説明が3ページほどあるだけ、本文ではまったく触れられていません。著者はこの試験のことをまったく意識していないのです。

 私としては、試験の参考書よりも普通の入門書のほうが好みに合うんですけどね。それにこの本、入門書としてはかなりよくできています。Accessなんかを使ってデータベースの概略を把握できている人が、差し迫った必要はないけどOracleを勉強しておこうかというようなケースを想像してみると、読んでふむふむ例題を動かしてみてふむふむと、うまく読み進めていけそうな感じ。訳本のまだるっこしさも、例題の中身が訳されていないのをちょっと我慢するくらいで済むでしょう。これはやはり、著者の奥さんがちょうどSQLを勉強していたところだった、身近に読者のモデルがいて書かれた本だということが大きく効いているのでしょう。

 そんなぐあいで、私個人としてはこの本を買ってもいいなあと思うのですが、オラクルマスターを受験しようと思っている人が書店でこの本を手にとったらどう判断するでしょうか。……たぶん、出題傾向の解説も過去問も載っていないんじゃ今持ってる教科書と同じだと思って、棚に戻してしまうのではないでしょうか。
 この本は売れない、少なくとも試験の棚からはずさなきゃ売れない、編集者としての私はそう思います。

 なんだってこんな、木に竹を接いだような本ができちゃったのか。

 経緯は著者の前書きに書いてありました。そもそものはじめ、編集者からこの企画を持ちかけられたときに、企画趣旨を最後まで聞かずに、逆に著者が自分のアイディアをまくしたててそのまま突っ走ってしまったんですよ。「Scott、あのとき話の腰を折ってご免ね」て、やれやれ、無邪気なものだ。
 もっともこれは、編集者Scottは何やってたんだという話でもあります。著者を適切な方向へ突っ走らせる、あるいは、著者が突っ走った結果をうまく売れる形におさめるのが編集者の仕事です。その打ち合わせのときに、あるいは原稿が仕上がるまでの間に軌道修正ができなかったのか、原稿が仕上がってからでも別の形にして出版することはできなかったのか。Scottはおおいに反省すべきです。
 Scottだけじゃないです。日本語版に携わった人たち、翻訳者や日経BP社の編集者は、この食い違いをどう考えたのでしょうか。気がつかなかったのでしょうか。気がついてもそのまま進めるしかなかったのでしょうか。これでよいと考えたのでしょうか。
 私にはわからん。
 いったいぜんたい、いまどきの出版はどうなっているのでしょうか。


書評者: 塩見 真一 パソコンの本フォーラム

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